チタンの加工はなぜ難しいのか?
「強度」「軽さ」「耐食性」「耐熱性」といった優れた特性をもつチタンは、近年の製造コストの低減化により、その需要は年々高まっています。
しかし、それらの優れた特性が原因となり、切削時の工具寿命が短くなるため、チタンは難削材に分類されます。
ここでは、チタン加工における問題点とトラブル、さらに当社が実際に行ったチタン加工の事例まで、まとめてご紹介いたします。
難削材の加工について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
1.チタンとは?
チタン及びチタン合金が工業的に幅広く実用化されるようになったのは、1940年代後半から、1950年代後半にかけてからです。したがって、金属材料としては、Ni基超耐熱合金とともに工業化の歴史は比較的浅い材料です。
「強度」「軽さ」「耐食性」「耐熱性」を備えるチタン合金は、以前は比較的高価であったため、航空機や宇宙航空機産業・原子力発電関連など限られた分野において利用されていました。しかし、近年では、製造コストの低減化が進んだことにより、チタンの需要は年々高まっています。
チタン材料は、大きく汎用材料と特殊材料の2種類に分類されます。
また、先述のようにチタンの特性としては、「耐食性」「耐熱性」「強度」「軽さ」の4つが挙げられます。
チタンと他の汎用金属と物理的特性を比較すると、比重から熱伝導率、ヤング率など、様々な違いが見られます。
この優れたチタンの特性によって、チタンは航空・宇宙を中心として、化学、電力・造水、海洋・エネルギー、核燃料、建築・土木、輸送機器、民生品まで、様々な分野に使用されている材料として知られています。
2.チタン加工はなぜ難しいのか?
先述のようにチタンは耐食性、耐熱性、高強度などの優れた材料特性を示します。しかし、それらの優れた特性が原因となり、切削時の工具寿命が短くなるため、チタンは難削材に分類されます。
チタンの切削時に起こりやすい問題としては以下の5項目が挙げられます。
チタン加工の問題点
- 熱伝導率が小さいため、切削時に発生した熱が逃げられずに工具と加工材に蓄積するため工具の磨耗が大きくなる。
- 科学的に活性なため、切削速度が増すと切削熱の発生が多くなり、切削部の温度が高くなるため活性度が増し、工具の磨耗が大きくなる。
- 継続的な変形により切りくずが生成されるため、刃先に加わる切削抵抗の変動が大きく、刃先が欠けたり大きく磨耗しやすい。
- ヤング率が小さいため切削したときに加工材が大きく変形しやすく、特に薄物の加工では、加工精度の低下やびびりが生じる。
- 磨耗した工具や薄い切りくずが出る条件で切削した場合、熱で切りくずが発火することがある。
チタン加工時に発生するトラブル
これらの問題点により、チタンは主に3つのトラブルを加工時に引き起こします。
- 工具寿命が著しく短くなる
- 加工精度、面粗度が悪くなる
- 切り粉が発火、しいては火災の原因となる。
このように優れた特性を持つ反面チタンの加工切削は難しいうえにトラブルがつきものです。そうしたチタン加工における問題の対応策として、一般的に「切削速度の低下」「切削油による冷却」「適正工具の選択」「適正工作機械の選択」の4点が挙げられます。
当社のチタン加工の事例紹介
研削・切削加工コストダウンセンター.comを運営する株式会社木村製作所では、様々なチタン加工の実績がございます。ここでは、ほんの一部しかご紹介できませんが、当社のチタン加工の実績をご紹介いたします。
事例①:64チタン製 薄肉パイプ
こちらは、チタン製の薄肉パイプです。材質は64チタンで、主に自動車業界に使用される部品です。
この薄肉パイプは、レーシング用として使われる部品です。肉厚が0.5mmという非常に薄い厚さのパイプ部品となり…
事例②:純チタン製 ハウジング
こちらは、チタン製のハウジングです。材質は純チタンで、主に自動車業界に使用される部品です。
このハウジングは、レーシング用として使われる部品です。外内径同時加工での精度出しが5ミクロンで必要な…
チタン加工は研削・切削加工コストダウンセンター.comまで!
当サイトを運営する株式会社木村製作所は、難削材加工のスペシャリストです。長年蓄積してきた独自の難削材加工における知見と、産学連携によって開発してきた超精密加工に関するノウハウを合わせて、難削材の高精密加工に対応いたします。
当社では、お客様とのご要望に合わせてVA/VE提案をしており、部品の設計段階からの全体を通したコストダウン方法をお客様と一緒に考えます。
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